関西国際空港を利用する度に目にする【祈祷室】という名称。
その文字から、お祈りをする部屋らしいという事は想像出来ますが、そこがどんな部屋なのか、あなたはご存知ですか?
モスは以前から気にはなっていたものの、なんとなく近寄りがたい印象があり、これまで一度も行った事がありませんでした。
調べてみると、イスラム教徒の方々が祈りを捧げる場所との事。
イスラム教といえば、2001年にアメリカで起きた同時多発テロ以降、様々な騒動を起こし、最近ではイスラミックステート(IS)の暗躍もあり、過激な宗教というイメージでみられる様になりましたが…
【祈祷室】とはいったいどんなところ?
もしかして、恐ろしい事が行われているのか?
ここは早急に実態を確認しなければ…
という訳で、初めてお邪魔してきましたので、その内容についてレポートいたします。
Contents
イスラム教とは
「イスラム教?ヤバイでしょ」
「過激な宗教だから近寄らない方がいいよ」
この様に思われている方が多いのではないでしょうか。
実際はどうなのでしょう・・・
- 西暦622年、預言者ムハンマドによって、アラビア語を母国とするアラブ人を中心に広められた。
- 唯一絶対の神(アッラー)が、アラビア語で人類に下したとされる(コーラン)を啓典としている。
- イスラム教徒は世界中に16億人いるといわれており、キリスト教に次いで2番目に信者の多い宗教。
- アラビア語ではイスラームと呼ばれ、神(アッラー)への絶対的帰依を意味する。
- イスラームと同語源のサラームは神の下での平安というニュアンスを持つ。
イスラム教は平和を追及する為の宗教なのですね。
六信五行
イスラム教徒が守らなければならない事です。
信じなければならない事
- 神
- 天使
- コーラン
- 預言者
- 来世
- 寿命
行わなければならない事
- 信仰
- 礼拝
- 寄付
- 断食
- 聖地メッカへの巡礼
これらの中で特に大切なのが礼拝とされており、イスラム教徒は皆、1日5回、メッカのカーバ神殿のある方角に向かってお祈りしています。
礼拝は世界中どこにいても欠かす事なく、聖地メッカに向かってお祈りをする決まりになっており、日本からは西北西の方角に向かってお祈りします。
ジハード
アメリカ同時多発テロを主導したとされるオサマ・ビンラディンが、アルカイダの戦士に呼び掛けた事から「聖戦」と訳される事が多いですが、本来のアラビア語の意味は「奮闘」や「努力」であり、日常的にも使われている言葉です。
新聞やテレビで『イスラム過激派が…』などという報道を目にする事がありますが、イスラム教が過激な宗教という訳では決してありません。
6信5行、特に1日5回の礼拝を毎日欠かさないイスラム教徒は、まさに平和を願うジハード(努力家)なのです。
礼拝の時間
1日5回の礼拝は時間が定められています。
- 明け方から日の出まで
- 正午から昼過ぎまで
- 昼過ぎから日没まで
- 日没直後
- 就寝前
搭乗前や到着後などで、これらの時間帯を空港で迎えるイスラム教徒の方々の為に設けられたのが【祈祷室】です。
ムスリムフレンドリーエアポート
キリスト教徒の事をクリスチャンと呼びますね。
それと同じ様に、イスラム教徒の事をムスリムと呼びます。
関西国際空港は、ムスリム独自の生活習慣を尊重し、空港でも不自由を感じる事なく過ごしていただこうと、ムスリムに優しい空港を目指しており、祈祷室の設置はその一環といえます。
祈祷室の場所
チェックイン前でもチェックイン後でもお祈り出来る様に、空港内3か所に設置されています。
- 一般エリア(第1ターミナルビル3階、北側)
- 出国エリア(北ウィング、16番ゲート付近)
- 出国エリア(南ウイング、26番ゲート付近)
一般エリアの祈祷室
第1ターミナルビル3階、ショッピングフロアの北の端、ユニクロ横の通路を進み、カードラウンジ比叡や大韓航空ラウンジを通り過ぎた先に祈祷室があります。
扉を開けて中にお邪魔してみると、広々した清潔な通路があり、突き当たりが女性専用の祈祷室になっていました。訪問時は清掃中でした。
右手の壁には注意書きが貼られています。
左に折れた所が男性専用の祈祷室です。
中へ入ると空気がキリリと澄んでいる様で、引き締まった気分になりました。
日本の神社には参詣者が手や口を漱ぎ清める為の手水舎がありますが、祈祷室にはウドゥーと呼ばれる清めの為の水場があります。
ここでは足も洗い清める様ですね。
祈祷室の後ろにある白い棚には、衣装や敷布らしきもの、書物などが並んでいました。
この書物はコーランなのでしょうか?
これ以外は真っ白な壁だけの空間です。
祈りを捧げるメッカの方角はムスリムでないモスにも神聖さが感じられ、写真を撮る事は控えました。
床に敷かれた絨毯は、メッカの方角に向けてタイルを並べた様な柄になっています。
また、天井にもメッカの方向を示すキブラというサインがありました。
真のおもてなし
関西国際空港に初めて祈祷室が設置されたのは2006年。
アラブ首長国連邦のドバイを本拠にするエミレーツ航空が関西国際空港に就航するのに合わせての設置だったそうです。
その後、より便利で快適な空間へと改善され、現在の施設は2014年4月にリニューアルされたものです。
東京オリンピックの誘致レセプションで、滝川クリステルさんがPRしたおもてなし。
来日された外国の方々を日本人らしい細やかな気配りでおもてなしするという事ですが、日本の文化や習慣を押し付けるだけのおもてなしにならないか危惧されます。
それぞれの国にある独自の生活習慣を尊重し、普段なされている事を来日時も不自由なく行える為の環境作り、これこそ真のおもてなしではないでしょうか。
まとめ
一般エリアにある祈祷室は旅行者以外の方も利用出来ます。
実際に、近隣にお住まいのムスリムの方が礼拝に訪れる事もある様です。
国籍や宗教を限定した施設ではありませんので、心を落ち着かせたい方や神聖な雰囲気を肌で感じたい方は訪ねてみてはいかがでしょうか。
その際は注意書きの内容を必ず順守しましょう。
今回は関西国際空港の祈祷室を紹介しましたが、祈祷室は主要空港や駅、百貨店やショッピングセンターなど、各地に設置されています。
こういうおもてなしの施設が増えている事は、とても喜ばしい事ですね。
1日5回も平和を願って祈るムスリムの方々には頭が下がります。
我々日本人も負けずに祈りましょう。
世界が平和であります様に…
それではまた~(=^・^=)